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第2章
ウミガメが産卵で流す涙のような澄み切った空と、陽光に眩く揺れ動く海原を前にしてようやくオレは、すっかり忘れていたカナエの言葉を思い出した。カナエの清冽で美しい顔が、喜びに満ちあふれていたそのときの印象的な表情とともに……
──ユウちゃん!
この白い仔猫のぬいぐるみを見て思い出さない?
ほら、前にふたりで「ひょっこりひょうたん島」で遊んでいた時に、「大排水」に溺れた白い仔猫が浮かんでいるのを見つけたでしょう
ほんとうにかわいそうだった。
ワタシこのぬいぐるみをはじめて見た瞬間
あの時の白い仔猫だと思ったのよ!
だからすぐにパパに頼んで買ってもらったの
あの時は、仔猫を助けてあげられなくてとてもかなしかったから。
もうワタシは、この白い仔猫とずっと一緒にいるつもりよ!
──「ひょっこりひょうたん島」とは、村を流れる「大排水」が、西に向かって二手に分かれる間にある島のように見える陸地のことで、同名のNHKの人形劇の島と似ていることからそう呼ばれていた──
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