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お見合い血痕
「ご家族は?」
「猫と暮らしております」
知ってる。
「ご趣味は?」
「猫と暮らすことです」
「楽しいですか」
「とても」
嬉しい。
「これを見て下さい」
と飼い主さまは壁の染みを指差す。
「ある日死にかけた猫がうちに転がりこんで来たので何か食わせてあげようとしたのですが何もなかったので私の血を飲ませました。その時の血痕です」
知ってる。
その後助けを読んだのも僕。
「この鈍色の血痕を見るたびに、『嗚呼私もついに守るものが出来てしまった』と覚悟を決めたことを思い出すのですよ」
「猫さんのこと、好きですか?」
「ええ、とても」
嬉しい。
「今どこに?」
「さぁ、私に飽きて恋人とでも時間を過ごしているのかな」
にゃにゃ。
「とてもキュートなので『猫きゅー』と名付けました」
「なるほど」
そうらしい。
「さすがに毎日血をあげる訳にはいかないので猫の缶詰めを買うことにしました」
自分の食べ物も買いなさい。
僕の飼い主さまはどうも変だぞと猫仲間内で話題なのは内緒。
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