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『行け! コントレイル! 後少しだ! 頑張れ!』
……………
私の応援が届いたのかどうか、それは分からないが、無敗の三冠馬・コントレイル号は、最後の直線で見事に先頭に躍り出て、そのまま一着でゴール板を駆け抜けていった。
なんと見事な競走馬だろう。
なんと感動的なレースだろう。
そう思ってテレビ中継を見続けていると、レースを終えたコントレイル号が、メインスタンド前に帰ってきた。
それは、その競争を制した馬だけに与えられる権利。
しかし、今日のそれは、今までコントレイル号が経験してきた、いつものそれとは違っていた。
最後の競走を終えて、メインスタンドに向かう途中。
鞍上の福永祐一騎手は、ゴーグルを外して号泣し、そしてなによりも、帰ってきたメインスタンド前には沢山の観客がいて、見事にレースを制したコントレイル号に、惜しみない拍手が贈られていたのだ。
そして、その声援を受けたコントレイル号は、何度も首を上下に振り………
それはまるで、応援してくれてありがとう。
今日まで見てくれてありがとう。
と、彼が観客に言い返しているような。
そんな風に、私には見えた。
そんな馬の有志を、私もメインスタンドで見てみたかった。
だからもう少しだけ、来年あと1レースだけ走ってくれたらと、ついつい思ってしまう自分が居る。
それだけ偉大な競走馬だった。
そんな馬に敬意を込めて。
2021年11月28日 日曜日
第41回 ジャパンカップ
優勝馬・コントレイル号
本当に見事な競走馬だった。
本当に見事なレースばかりだった。
この作品を、無敗の三冠馬・コントレイル号に捧げる。
ー完ー
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