【 減ってゆくポップコーン 】

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【 減ってゆくポップコーン 】

 事が終わると、気付けばまた自分の部屋へ戻っていた。 (こんな恋愛成就の方法なんてありなの……?)  そう思いながら、疲れてそのまま眠ってしまった……。  ――それ以来、私はポップコーンが手放せなくなっていた。  事あるごとに、ポップコーンを頬張り、静香おばさんとなり、彼と恋をする……。  何か複雑な思い……。  このままでいいのだろうか……。  そんな関係が1ヶ月くらい経った頃、おかしな現象が出始めた。  私がポップコーンを食べても、またすぐに自分の体へと戻ってしまう。  何度やっても、すぐに戻る。  おかしいと思った。  私は机の上にあるポップコーンの数を数えた。  すると、何故かポップコーンの数が少ない。  私が食べたポップコーンよりも減っている。  これはもしかして……。  疑問に思った私は、机の上にある例の取り扱い説明書の裏に、こう書いた。 『静香おばさん、ポップコーン食べました?(美玖)』  と……。  私がポップコーンを頬張り、しばらくすると、また自分の部屋へと戻った。  机の上の紙の文字に凍りつく……。 『美玖ちゃん、ごめんね。食べちゃった(静香)』  何と、静香おばさんもこのポップコーンを食べていたのだ……。
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