第1章 アルバイト

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* あれから数日後。 私は、舞台袖で表情を緩ませていた。着慣れていない制服の上に、長めの黒いマント、黒いマスク……そう、私はこれから、生徒会長挨拶をするのだ。 今日は初アルバイト。朝から体育館で準備をしていた。私は高校の頃、全校集会なんて面倒だと思っていたから、運営側のことなど考えてもみなかったが、マイクを設置したり、音量を調節したりなど、細かいことをするんだなぁと実感した。これでお金が出るからいいのだが、本来は給料なんてもらえない。給料がなければやっていないだろうな、私。 伯父さん……いや、ここは学校だから校長先生か……が生徒の前で挨拶をしている。校長先生の話は長いっていうのは定番だが、私はろくに聞けていなかった。外でこんな格好ができるのは嬉しいが、一応緊張もしている。あー、いけないいけない、アルバイトなんだから、多少は我慢しないと。 私は隙間から生徒達の様子をうかがっていた。みんな寒そうにしていた。そりゃそうか、もう11月だし、冷たい床の上に体育座りをするのは寒いよな。 「……えー、それでは、新生徒会長に登場していただきます。会長、お願いします」
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