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「待たせてすまない。少しばかりこの世界に慣れていないものでな。私の名はエミリオ・ハライドヨーク・シノヴィア。闇の世界から、ある使命を果たしにこの地へ舞い降りたのだ」
体育館が一斉に静まり返った。おっと、流石にやりすぎたか、マイクのスイッチとともに私のスイッチまで入ってしまった。彼らも驚いているではないか。
「……という訳で、私は新生徒会長としてしばらくの間世話になる。不慣れではあるが、よろしく頼む。それでは、失敬」
何とか挨拶を終わらせ、再び舞台袖へと静かに戻った。
「伯父さん! 今のどう? キマってただろ?」
私は親指と人差し指を立てて決めポーズをした。
「……えっと、エミ、リオ……」
「エミリオ・ハライドヨーク・シノヴィアだ。ちゃんと“エハラミヨ”の文字全て入ってるんだぞ!」
「…………」
“もう一つの名”を使えば、本名も言わなくて済む。個人的には上手くいったと思ったんだけどなー。伯父さんは終始頭を抱えていた。とりあえず、初日の仕事はこれで終わった。
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