第二章 奮戦

25/35
前へ
/63ページ
次へ
4  ――西暦2193年1月4日。早朝  ウーと鳴り響く、喧しいサイレン音が続いていた。 「何よぉ、もう!」  17歳の小原真衣は、あまりのうるささに、布団を跳ね上げた。 「喧しいわね……」  小原は、苛ついた状態のまま、玄関でサンダルを履き、外に出た。  外ではスピーカーから出るサイレン音で、まともに周りの音が聞き取れない状態だった。  お向かいに住むおじさんが、何か、小原に向けて叫んだ。 「…………!!」 「えっ⁉ 何……っ、聞こえない‼」  小原は必死で聞き返すが、おじさんに届いていないらしかった。すると、スピーカーからひどく鈍く遅い、女性のアナウンスが入った。 『現在、海王星監視ステーション行政部より、海王星コロニー全域に避難命令が発令されました。コロニーにお住まいの皆様は、避難船に乗船して下さい』  小原は、ハッとしておじさんの方を見る。  おじさんは、真剣な顔で「こくっ」と頷いた。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加