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小原は、急いで部屋に戻った。
まず、小原は着替えをした。さすがに寝間着姿では、マナー的に良くないと考えたからだ。時間がないため、小原はその辺にあった服を適当に着込んでいく。
その後、非常持ち出し品ケースと呼ばれるスーツケースとリュックサックを床下から取り出した。
宇宙塵や小天体に備えるためのもので、全国民が一人一個、政府から支給される。中身は、缶詰を中心とする非常食や衛生用品、装備・道具などだ。
小原は、心臓に持病を抱えていたため、そのための薬も個別に入れていた。
そして、小原は避難準備を十数分で済ませた。
「よしっ」
小原はリュックサックを背負い、スーツケースを引っ張って家を出た。
サイレン音は、絶えず続いている。
「ほら、そこのお嬢さん、急いで」
海王星警察から派遣された役員が、避難の案内を進めていた。
小原宅から宇宙港まで、数キロほど離れていた。だが、地下鉄も全通止まっているらしく(地下鉄入り口に入る者がいなかった)、携帯端末を見れば、主要道路は全てアウトロック状態で、人の足しかなかった。
「走るしかないか……」
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