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小原は、スーツケースを引きながら駆けていった。
数キロといえば、かなりの距離である。小原は、途中で休憩を挟みながら、走って行き、20分ほどして宇宙港に着いた。
「はぁ、はぁ。心臓良くないのに……、走っちゃった」
心臓の鼓動が耳に聞こえるほど激しく打ち、呼吸はいつにも増して激しく なっていた。
小原は、ゆっくり歩きながら、宇宙港のロビーに入ろうとした。
だが、数万人もの住民が押しつけているらしく、半ばパニック状態となっていた。このままでは、避難船に乗るどころか、宇宙港内に入ることすら難しそうだった。将棋倒しになって死人が出てもおかしくない。
現在、警察の交通課が整理員として出動しているらしく、必死に列を作ったり、整理券を配布したりしていた。だが、明らかに整理が追いついてなく、人混みの前の方及び後ろの方は、列が作れてなかった。
とりあえず、小原は人混みの後ろの方に行くことにした。
そのとき。
小原の心臓に激痛が起こった。
「あっ……、ぅう……」
小原は、スーツケースに手を預けながら、その場にしゃがみこんだ。
先の運動が原因で発作が起きたのだ。
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