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転
『んん…やっぱこんなことでこのまま喧嘩が続くのも嫌だから、もう一回会ってくる!』
『え、会いに行くって…』
『彼氏のとこ!ごめんお姉ちゃん、ココア半分残しちゃったけど行ってくる!』
『それはいいけど…もう夜遅いし、今度にしたら?』
『大丈夫、行ってくる!』
そう言って慌ただしく彼氏の元へ再び出かけた真希。
ーーーしかしその直後、彼女はそのまま帰らぬ人となった。
「なんで…」
トラックにはねられ即死だったらしい。
横断歩道を渡っている最中、信号機が赤になったにも関わらず何故かそこで真希は立ち止まっていた、と警察から聞いた。
「なんでこれ忘れてんのよ…」
テーブルの上に置かれているのは、真希が残し冷め切ったココアと彼女が忘れていった口紅。
…ついさっきまで、真希はここにいたのに。
一緒に喋っていたのに。
いろんな感情がごちゃ混ぜになった私は、そっと口紅を右手に取った。
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