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“ブイツーバー”。動画投稿サイト“ユーツーブ”にて活動する、3Dモデルで作られたアバターの配信者である。
その大半は美少女キャラが占めており、今では用意されたパーツを組み合わせるだけで誰でも気軽にアバターを作成でき、自分と全く違った人物に変身することができる。
そんなブイツーバー達があの手この手で視聴者を奪い合う中、常に人気上位をキープしていたのは、イケメン四人組グループ“セ☆バス☆チャン”だ。
執事アイドルをコンセプトに突如ブイツーバー界にデビューし、瞬く間に数多くの女性視聴者を虜にしていった。
「おかえりなさいませ、百万人のお嬢様お坊っちゃま。本日もお勤めご苦労様でした。まずはごゆっくり身体をお休め下さい」
・クールな眼鏡執事長:メリノ
「おやおや、随分とお疲れのお嬢様とお坊っちゃまがいるみたいですね。今カモミールティーをお淹れいたしますね」
・性別不明の妖艶執事:ミヨウ
「それなら俺様特製のアップルレモンタルトも一緒に召し上がりな! 疲れも一気に吹っ飛ぶぜ!」
・肉体派俺様執事兼料理長:ジンギス
「ねーねーそれよりゲームしよーよ。ボクずっと退屈してたんだーっ」
・人懐っこい見習い少年執事:ウル
彼ら四人は女性視聴者から絶大な人気を誇り、メインと四人個人のサブチャンネルを合わせれば登録者数は軽く200万を越えた。
人気の理由はその美声。『聴いた瞬間キュン死昇天する』『高原の風よりさわやかで癒しの極み』、『鼓膜がとろけてなくなった』などいわゆるイケボとして持て囃されていた。
声がよければ歌も上手く、四人が歌を披露した動画は必ず100万再生を超えた。
誰もが四人の中の人を想像し、理想を思い描いた。きっと素顔も相当なイケメンなんだろう。こんな美声の持ち主になら全てを捧げてもいい、と。
しかし、顔出しをしないからにはそれなりの理由があるわけである。
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