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少年も2人に気付いた。黒縁の眼鏡をかけ、黒い瞳は真っ直ぐに前を見つめている。夏奈も色白だが、彼もまた夏奈と同じくらい肌が白く、夜の暗さがそれをより一層際立たせる。アキラは教室に入り、
「やあ、こんばんは黒宮君。そこで何してるの?」
とその少年に声をかけた。
「こんばんは。僕はよく夜の学校の散歩をしているんだ。篠原さんは?」
少年は淡々と喋った。アキラは少年のところまで歩き、
「私はね、付き添い。あの子が教室に忘れ物したから取りに来たんだ。ほら、この前転校して来た暁さん!」
と答えた。夏奈は慌ててペコリとお辞儀をした。少年もお辞儀を返した。
「忘れ物?」
「そうなの。夏奈、机に忘れたの?」
夏奈も教室に入り、自分の机に向かった。
「そう!確か机の中に……あ、あったあった!!」
夏奈は香水を取り、バッグにしまった。
「次からはちゃんと机の中も確認して帰らなきゃなー」
「よかったよかった、さぁ、私達は寮に戻ろうか!黒宮君も気を付けて帰ってね!じゃあまた明日!」
アキラは元気に手を振った。夏奈も続けて小さく手を振った。少年は
「ありがとう。また明日」
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