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第1章 サクラ学園
夏奈はすぐに理解できなかった。感情の欠落……?
「あの、それはどういうことですか?」
遠藤は優しそうな目で答える。
「感情って、たくさんあるでしょう?楽しいとか、悲しいとか……ここにはそういった感情の一部分がもともと乏しいとか、途中で薄れてしまった子、わからなくなってしまった子達が入学してるんだ」
「……ということは、私も?」
「そういうことになるね」
夏奈は戸惑いを隠せない。
「私は一体何が足りなくなっちゃったんですか?」
遠藤は静かに首を振る。
「それはね、今は答えられないんだ。夏奈ちゃんにだけじゃなくて、他のみんなにも。ここで生活していく中で、何が欠けているのかを探して、解決していくっていうのがこの学園のスタイルだよ。もちろん、最初から何が足りないのか、知っている子もたくさんいるんだけど……あ、心配しないで!さっきも言った通り、やってることは普通の学校と変わらないし、必ずここで新しく友達を作って、いい学園生活を送れるから!それに、その問題を克服して、今楽しく過ごせている子もたくさんいるからね!」
遠藤は微笑む。夏奈はまだ事態をなかなか把握できなかった。
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