夢に向かって駆ける

「また本読んでるの？相変わらず好きねぇ」

　周囲から、そして親にも呆れられるほど、彼は子どもの頃から本が好きだ。

　紙に書き記される文字。それが紡ぐ物語。ページをめくる度に、心踊る個性豊かな世界の数々。それを旅する感覚。

　脳を、心を、感情を、色々なものを、夢中にさせてくれる。

　そんな体験が出来る本を、彼は心から愛していた。

　子どもの頃の感受性は大人になって徐々に無くなっていくものだが、彼は成長しても、その感覚は強く残っていた。

「小説家になりたい。本を出して、多くの人に作品を読んで貰いたい！」

　だから、そう思い、人生の目標にするのは必然だったのだ。