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「ウーン……。えっと……、あの巨大化した怪人は、君の言う事をまだ聞くの? エネルギー切れっていうのは?」
「命令通り動かせる。怪人の巨大化はすぐにエネルギーを使い切ってしまうの。通常時とは比べものにならないくらいに。エネルギーが尽きれば、怪人はオートファジーを起こして崩壊してしまう。だからいよいよという時まで巨大化は温存するんだけど……」
「エネルギーって言うのは、カロリーみたいなもの? 補給すれば長く戦えるの?」
「彼なら普通のカバと同じような食べ物でエネルギー補給できる。けどっ……、あの大きさをまかなうには、アジトに行くか、デパートとかから強奪でもしなきゃ無理……、ハッ! まさかっ……!」
「はっ、はははははっ……! そのまさかだッ! 僕らは、助かるかもしれないッ!」
イログリーンこと緑川大地が清美を離して地面に右手を当てると、戦闘中のロボの足下からツタの蔓が一斉に伸び、元々片足だったロボットはバランスを崩して地に倒れた。
続けて大地が左手を地面に当てると、今度は巨大怪人の足下から、リンゴやバナナのたわわに実を付けた大木や、大麦小麦や牧草が大量に生えたのだ。大地は大声で言った。
「改造ヘビーベヒモスッ! 餌だっ! どんどん食べて強くなれッ!」
「なっ……! どういう事だっ?」
「グリーンっ……! いやっ大地ッ! おめえ裏切ったのかッ!」
イロレンジャーたちはロボの中で罵り声を上げるが、最早緑川大地の耳には入らない。一方、岩間に隠れていた下級戦闘員の残党たちもわめき声を上げる。
「ラスティ様っ、嘘でしょっ? なんでイログリーンとっ……! ブラックジェネラル様が黙っちゃいませんよっ! いったい何がどうなっちゃったんですっ?」
すると緑川大地と化野清美は、二人で手を取り合い、声を揃えてこう言ったのである。
「「イログリーンとグレーラスティはもういない! イロレンジャーにもブラックピラミッドにも戻らないッ! 我々はこれから北の地に向かい、そこで第三の勢力、『恋の逃避行』を樹立するッ!」」
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