ゴミ袋の女子高生

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ゴミ袋の女子高生

「あれ?」 「どうしたんだよ、一樹」 「いや、今、宮原さんがいたような……」  ようやく期末試験が終わったので、今日はクラスメイトとカラオケを楽しみ、日付が変わる前に帰ろうとしているところだった。 「宮原がこんなところいるわけないだろ」 「あいつは引きこもりだからな」 「今日も誘ったのに、断りやがったし」  クラスの男子が口々に言う。  宮原はおとなしい女子だ。学校ではほとんどしゃべることなく過ごし、授業が終わるとすぐに帰ってしまう。メガネをかけたシュートヘアで、見た目は文学少女という感じだった。  引きこもりというのは、学校に来てないわけではなく、殻に閉じこもって誰ともコミュニケーションを取らないという比喩だった。おそらく放課後は部活や遊びをせず、家にひきこもっているのだ。  一樹はそんな宮原が夜の街を歩いているのを目撃していた。 「ごめん。俺、ちょっと用事思い出して」  そう言うと一樹は一団を抜け出して、宮原が消えていったほうへ行ってしまう。 「一樹、宮原に気があったのか?」 「冗談言うなよ。顔は悪くねえけど、あの宮原だぞ」 「何考えてるか分かんないから、怖えんだよな」  一樹も夜にクラスの女子を見かけたぐらいで、あとを追いかけたりしなかっただろう。  しかし、彼女はあまりにも異様だった。  セーラー服を着た女子高生が、中身がいっぱいに詰まった黒いゴミ袋を両手に持ち、深夜の繁華街を歩いていたのだ。
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