プロローグ:とある冬の日の風景

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「本当に、あの日とそっくりの空の色……」  あの日冬の屋上で、初めてあやめと出会ったときの事を思い出す。セーラー服の襟元から差し入れて首筋に手を当てる。とくとくと自分の鼓動が指先で感じられる。あの時のあたしは受け入れることを拒んでしまったけど、今はどうだろう。 「いつかきっと、あたしを食べにに来てよね」  ここにはいないあの子に、あたしはこっそり語りかけた。
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