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数日後。
上空から何かが飛んできた。それは新たな怪獣であった。
隊員達がタチバナ隊長の前に集合した。隊長の横にはゲン副隊長がいる。
「コウジ、コウタロウ、タケシ、ゴロウ、ジン、ユリコ、ピーター、全員そろってるな。よし、行動開始」
隊員達はそれぞれ、苗字もしくは名前で呼ばれている。女性隊員が1人、日本人以外の外国人の隊員も1人いた。
怪獣は地上に降り立った。
隊員達は、戦闘機に乗り込む者、地上に降りて住民の避難誘導を行なう者、それぞれが活動していった。
怪獣はどういうわけか、しばらく動かずにいた。そのあと、少し歩きながら何かの動作をしているようであった。
それから、飛び始めた。ずっと飛んでいき、向かった先は、防衛隊の基地であった。そして、その壁をたたき始めた。
「やつめ、基地を破壊するつもりか」
隊長がモニターでその様子を見ていた。
「どうしますか」
副隊長が聞く。そして隊長は命じた。
「ようしこの際、基地を移動させよう。今は午前だから、西に移動だ」
基地はものすごい速度で移動していく。そこから見ると、太陽が東に動いているようであった。その間も怪獣は基地の壁を破壊し続けていた。
やがて太陽が東の地平線に差しかかった所で、基地は速度をゆるめ、ゆっくり移動し始めた。
「そろそろ来てくれるかな」
隊長のつぶやきとほぼ同じくして、何かが姿を現わした。
「おお、リヒトだ。うまくいきましたね」
副隊長は喜ぶ。
そしてリヒトは怪獣の近くまで来て、しかしあろうことか、同じように基地の壁を破壊し始めた。
「おいこれはどういうことだ」
「夕焼けヒーローは人類の味方ではなかったんか」
隊長と副隊長はそれぞれ驚き、叫んだ。
「どうします?」
「うーん仕方がない。攻撃だ。怪獣そしてヒーローに」
隊長が命じた。
いくつかの戦闘機は怪獣とヒーローにミサイル等で攻撃を開始した。
怪獣はそのまま壁をたたき続けている。ヒーローは戦闘機群に向かって飛んできた。
「うおー危ねえ。うまくよけんと落とされるで」
隊員の1人が叫んだ。
ヒーローが手足で戦闘機をたたこうとするのを隊員達は何とかかわしていった。
その時、また何かが現われてきた。
それは、ヒーローと同じような姿である。そしてそれは、ヒーローの所に飛んで近づいていき、それから羽交い締めにして移動していった。
「どうなっとるんだ」
隊長が意味不明といった表情をした。
そしてそれらは、基地の屋上の所まで飛んでいき、それからその地面の上にぶつかって倒れた。そのあと、両者は立ち上がり、少し離れて向かい合って身構えた。
「おいありゃ何だ。リヒトが2人?」
近くまで飛んできた戦闘機の中から隊員がその様子を目撃した。
「どうですかな」
一緒にモニターを見ていた副隊長が隊長に質問する。
「うーん、2人とも夕焼けヒーロー・リヒトのようだな。全くそっくりだ」
そしてその2人の巨大ヒーローは、互いに格闘を始めた。戦況はほぼ互角である。
そこへさっきの怪獣が飛んできた。そして基地の屋上に降り立ち、一方のヒーローと共闘しながらもう一方を攻撃し始めた。
攻撃されている方は苦戦しながらも何とかして逃れようとし、そしてその二者からうまく離れて距離を置いた。そのあと、光線を発射し、それは怪獣と一緒に行動している方のヒーローに当たった。光線を当てられたヒーローは動かなくなった。
そのあと、まだ動いている方のヒーローと怪獣との格闘になった。
最初は怪獣の方が押している感じであったが、そのあとヒーローの方が優勢になっていく。それから怪獣がふらついた所で、ヒーローが光線を発射して怪獣に当てた。怪獣は爆発した。
「やった~」
「やったぞ」
数機の戦闘機に乗って様子を見ていた隊員達がそれぞれ喜んだ。
「やりましたね」
副隊長は声を上げ、隊長はうなずいた。
そのあと、2人のヒーローがそのまま消えていった。
「だけどどういう事なんでしょうか」
「うーんわからん」
「もしかして一方のヒーローはニセ者だったとか」
「そうかもしれん。ようし、全機帰還せよ」
隊長が命じた。
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