chapter1

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『過ぎ去る』と書いて、『過去』と読む。  巻き戻せない時間。  もう二度と取り戻せない時間。  時間の流れは、誰にも平等だ。前にしか進まず、過去へは遡らない。  生きてる限りは、誰もが時間のルールに縛られる。  それは理解していた。だが、受け入れることは出来なかった。  何故、諦めなければならない?  誰が決めたかも解らないルールに、何故支配されなければならない?  脳裏に焼き付いている、穏やかな記憶。  笑顔で、幸せで、満たされていた。  あの時間は、いつまでも続くものだと思っていた。  だが、もう何処にもない。  待っていたのは、残酷な未来だけだった。  壊され、奪われ、何もかもが失なわれた。  残ったのは、怒りと憎しみだけ。  その未来も、新しい過去になってしまうのだろう。  だけど、もし。  もし、時計の針を後ろに進める事が出来たら。  全てをやり直せるのだとしたら。  そのチャンスを逃しはしない。  ルールをねじ曲げても、必ずやり遂げる。  例え、何を犠牲にしたとしても。
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