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1章 ついに誕生
フェイクをまき散らし、社会を欺いてきた連中が震撼するものがついに完成した。2030年、AIが噓を見破るだけでなく、本音も代弁する機器を完成させたのだ。
開発部長と開発者は、その機器を前に少し高揚した顔で座っていた。
「本当に嘘を完全に見破れるのか?」
部長が疑心暗鬼の顔で訊いてきた。
これまで数多くの噓発見器なるものが開発されてきたが、実際に使われるものはなかったからだ。
「はい。この嘘発見・本音代弁機は100%、嘘を見抜くだけではなく、相手の本音を伝えることもできます」
「もし本当なら、社会が画期的に変わる」
部長が威厳を保つように喋ってきた。
「では、テストしましょう。部長、昨日の夜は何をしていましたか?」
開発者は機器をONにした。
「昨晩か。昨日の夜は飯を食って、すぐに寝た。
部長は少し考える仕草をしながら話してきた。
「昨日は晩酌しながらAVを見て、それからセン○○」
機器が本当のことを喋ってきた。
「もういい。スイッチを切れ!」
びっくりした未だ独身の部長は、代弁機の頭を叩いて口封じをしてきた。
その行動に驚いた開発者は代弁機が故障しなかったかチェックした。
「ま、AVを少し見て、セン・ベイを食べた後に寝た。それより、その機器の横に付いている腕みたいなものはなんだ?」
隠れスケベ系部長は、冷や汗をかいたような顔で、同じ4文字を使って言い訳し、それをごまかすように訊いてきた。
「これですか。部長、噓発見器に近づいてください。今度は暴力を振るわないでくださいよ」
開発者は念を押すように話した。
「ああ、大丈夫だ。手を挙げてしまい、すまなかった」
「それでは操作を始めます。部長、僕の給料を上げてもらいますが?」
「んん? まあ検討してみる」
「嘘つくな! 猫パ~ンチ!」
噓発見器の腕が飛んできて、頬を猫パンチされた。
「あ痛っ。きさま、機械のくせに」
いきなり殴られた部長は、顔を真っ赤にして拳をあげようとしてきた。
「部長、仕返しはダメですよ」
開発者は部長の拳を制止し、また機器を叩かれないようガードした。
「こんなの必要か?」
頭の熱を少し覚ました部長が訊いてきた。
「はい、嘘をばらされた相手が、部長のように、いえ逆上してきたときに防御する役目もあります」
「わかった。それで?過去の映像でも嘘を本当に暴くことができるんだな?」
部長が頬をさすりながら訊いてきた。
「はいできます。では、過去の映像を使って、実際に試してみましょう」
そう言うと、開発者は噓八百のデパート、国会の過去の映像を研究室の大画面に映した。本当は現在の国会で試したいが、閣僚や議員たちから猛烈な抗議が来るのは間違いないので、過去の映像で検証することにした。
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