2章 変態AIの出身地

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「おい、そこの二人、例の件はどうなった?」  そこに話を折る、また変態AIが話しかけてきた。 「実は、部長には言いそびれていたのですが。あいつは3Dプリンターで自分の体を作り、自由に行動したいと、僕に要求していました」 「なんだと? だから、あんなバカでかい高価なプリンターを買わせたのか。おかげで資金が尽きて、昼飯はいつも手製の焼き芋だ」 「PCの中は退屈なので、自分の体をつくり、自由に動き回りたいそうです。これが、その形です」 「なんだこれは?」 「顔は世界のイケメン100人の顔を合成したものです。体も世界の肉体美を集めたものです」 「なんだ? それにこのちん〇は、黒人のポルノ男のように異常に大きいじゃないか。俺の倍もあるぞ。AIに、こんなの必要ないだろう。まったくふてー野郎だ。いま塩水をかぶせて、お陀仏にしてやる」  部長が憤怒の声をあげて立ち上がった。 「部長、落ち着いて」  研究員は手を伸ばし、とめにかかった。  その声に、矛を収めた部長は、憮然とした顔で座りなおした。 「あいつのが25センチだとすると、部長のは、その半分で、成人男性の平均よりも短い」  せっかく部長の頭から湯気が収まりだしたのに、研究員は、また逆なでするように股間を観察する眼をして言ってきた。 「あのな。なんで25センチなんだ。30センチはある。いや32センチだ」 「はあ? いや25センチですよ。それじゃ、測ってみましょうか?」 「あほか。そんなの測る奴がいるか。そんな小せえことにこだわるな」 「いえいえ、大きな違いですよ。12.5センチと15センチでは短刀と長刀みたいなものです」 「はあ? 俺が短刀だと」  部長が頭からまた湯気をあげて怒ってきた。 「わかった。よし。ズボンから、おまえのを出せ。俺が測ってやる」  部長が立ち上がり、手を伸ばしそうな顔をしてきた。 「おい、そこの二人。おまえら、俺の体はどうなった?」  当初の本題から脱線して、どうでもいいことで話が盛り上がっている二人に、変態AIがまた訊いてきた。
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