1章 ついに誕生

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「記憶にありません」  官僚 「ああ、よく覚えているよ。俺は東大卒だぞ。ボケ」  本音代弁機 「検討します」  大臣 「検討なんかするわけねえだろうが。ボケ」  本音代弁機  部長と開発者は、呆れ顔で映像が終わっても画面を見ていた。 「国会は想像以上に嘘まみれの世界だな。しかしどいつもこいつもボケという言葉を連発して、大臣と官僚の間で密かに流行っているのかな? こいつらのほうが、よっぽどボケ野郎に見えるが」  部長は画面に向かって声を投げつけると、かつらを被りなおした。がまたも値札をぶら下げたままだった。  部長が街中を歩いているときの話をしていたが、すれ違う若い女の子たちが振り向いて、クスクスと笑っていたそうだ。まさか? 値札をぶら下げたまま歩いていたのか?  女の子たちは色目をしていたので、自分に気があるのだろうと言っていたが「いやいや、色目違いだよ、おっさん」と言い返そうと思ったが、また切れて斧で襲われそうなのでやめた。  代わりに、今度、部長の後をついていって、すれ違う人たちがどういう反応しているのか、その光景を鑑賞しようと思う。 「公約とは有権者に約束した政策のはずなのに、当選したら平気で真逆のことをする。民間なら詐欺罪ですよ。こんな連中を養うために、税金を納めるのがばかばかしくなります」  開発者は鑑賞の楽しみは後にとっておいて、部長の言葉に同感した。 「ボケ政治家たちに、ボケ官僚か。日本が衰退するわけだ」  嘘を吐き続ける政治家、官僚たちに、部長が値札を派手に振って怒りの声をなげつけてきた。  二人は沸騰が少し収まってきたので、気持ちを切り替えて、次の映像に眼をやった。  今度は犯罪者たちの模様だ。
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