2章 変態AIの出身地

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2章 変態AIの出身地

「おい、人間」  AIが例の調子で声を飛ばしてきた。 「またか。あの変態AIの電源をいっそ切っとけ」  部長が喋ってきたPCに少し眼をやると、うんざりした顔で言ってきた。 「いえ、強制的に切ったりしたら、再起動したとき余計に逆上してきますよ。それより、あいつは匂いを嗅がせれば大人しくなります」  開発者、いやその名称をAIに回収された研究員が答えてきた。 「いや、そもそもAIが匂いフェチとか、おかしいだろう。しかも若い女のフェロモンが大好きとか変態すぎる。まるで、人間の変態おやじじゃないか。本当は、あのPCの中に、変態のおやじが潜んでいるんじゃないのか?」 「いえ、人間が入るには、箱が小さすぎます」  研究員が真顔で答えてきた。 「しかもだ。パンツどろ大臣じゃあるまいし、女の生パンツを盗んでくるよう要求するとか、ありえんだろ」 「はいそうなんですが。でもあいつを大人しく従わせるには、パンツの匂いを嗅がせるのが一番なんです」 「確かに。あいつ、匂いを嗅ぐと、恍惚のような声を漏らしてくる。まったくもってキモイ野郎だ」  部長は変態を見るような眼でAIを見た。 「それで、ここに女のパンツを置いてあるということか。いままで訊かなったが、おまえ、あいつのためにパンツを盗んでいるのか?」  今度はパンツ泥棒を尋問するような顔をして、訊いてきた。 「まさか。そんなことをしたら逮捕されますよ」 「それじゃあ、どうやって手に入れた?」 「闇サイトですよ。そのサイトに生パンツが出店されていて、それを購入しています」 「はあ? そんなのがあるのか。まったく世の中、変態だらけだな」 「あいつは匂いを嗅いで、どういう女が履いていたのかを、嗅ぎ分けることができます。以前、赤いパンツの黒シミを嗅がせたら、吐き気をもよおすような声を出して、カンカンに怒っていました」  研究員はAIに訊かれないよう、声を落として言った。 「男が若い女に成りすまして出店したようで、しかもそのパンツを男が履いていました」 「んん。変態だらけ。まったく世も末だな。そうだ、俺のちょい漏れのパンツを、あいつに嗅がせてみるか」  部長がにやりと笑ってきた。
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