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Side A.
部長に恋愛相談をした数日後、俺はいつものように仕事を淡々とこなし、昼休憩に入ろうかと、椅子から腰を浮かせた時、部長が慌てた様子で俺の方へ駆け寄ってきた。
「相沢ちゃん大変よー!!!」
「部長?どうされたんですか?」
俺は浮かせた腰を椅子へと引き戻し、部長の話を聞く姿勢を見せると、部長は落ち着きのない様子で、しかし声を潜め言った。
「瀬尾クンのウワサが流れてるのよ」
「……瀬尾、の?」
またか。今度はどんな噂だろうか、また恋人ができたというような噂か、はたまた告白されたという話題か。
すっかり慣れてしまったなと頭の片隅で思いながら耳は部長の方を向いていた。
「さっき女のコたちが言ってたんだけど、黙っとくのも酷な話だし、多分そのうち知ることになるだろうから言うわね。」
「……は、はい」
「瀬尾クンに好きな人が居るって噂が流れてるわ」
「瀬尾に…好きな、人が…?」
目の前が真っ暗になった。
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