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Side A.
「おはよう、瀬尾」
今思えば初めて自分から声を掛けた気がする。
「おはよう、相沢」
にっこりと笑顔を浮かべる美しい顔。
周りで信号待ちをしている女性たちは、瀬尾を見て頬を赤らめ、そして彼の視線の先にいる俺を見る。
見なくても聞こえてくる声。
【何故こんな奴が隣にいるのか】
実際に聞こえるわけでは無いが、向けられる視線から感じ取ってしまう。
────あぁ、嫌だな。
そう思うが、それは顔のいい瀬尾でも嫌な視線を向けてくる女達でもない。
他ならぬ自分に向けての言葉だ。
ごく普通の平凡な顔立ちをしている俺は隣の眩しいオーラには耐えることが出来ない。
別に彼が嫌いな訳では無いが、こいつは俺にいつも話しかけて来て、俺を見下しているのでは?そんなことを思ってしまう。
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