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彼はそんな人ではない。そんなことはとっくに分かりきっている。 いつも優しく、裏表の無い彼の周りには自然と人が集まる。 羨ましいとかそんなものではなくて、ただ、そんな人気者の彼が、The平凡の代表みたいな俺に話しかけてくるのだ。 (心の中で見下してんのかな) だから、そんなことを思ってしまう。 彼がただの同僚という関係なら良い、だけど俺ははっきり言うと彼のことが好きだ。 恋愛的な意味で。 顔がいいからだとか、俺がホモだからという理由ではない。 どこまでも優しい彼だから好きになってしまった。 だけどきっと、きっとこの想いを口にしてしまえば彼は俺を汚物のように見るだろう。 好きなのに、彼は俺を見下している。 それを決めつける自分に心底嫌気が指した。 だから毎日彼の横に立つとこう思ってしまう自分がとても醜くて嫌いだ。 (ごめん、瀬尾) 「……あ、俺、今日急いでっからじゃあな瀬尾!」 そう言っていつも逃げてしまうのだ。 俺は、俺は瀬尾に……   〈〈〈嫌われたくない〉〉〉
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