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「毬藻って言うなっ!俺にはナオトっつー名前があんだよ!」
「はあ?知らないよ。君みたいな疫病神の名前なんて、呼んだら僕まで不幸になるでしょう」
「ちょ、七宮っ」
「あっ龍成!さっきぶりだな!!」
「…………おぅ、…」
一言で言わせてもらおう。
──カオス!!!
七宮、嫌いなのは知ってるけど春野に対して敵対心むき出しすぎやしないか?
あと春野もよくその流れで俺に話しかけるよな……。
おかげで生徒会にじろりと睨まれた。いやいや違うから、制裁したわけじゃないんですよ。
「さっきぶり?…ナオ、こいつにまたなんかされたの?」
「またァ?何言ってんだヒロ。こいつって龍成のことか?俺が龍成に会ったのはさっきが初めてだぞ」
「……こんなやつ庇わなくていいんですよ、ナオは優しいですね」
「嘘じゃねーって!」
こんなやつ呼ばわりですか。まあ慣れてますけど。
顔が全てのこの学園で俺が除け者にされるのはしょうがないけど、ならなぜ春野は気に入られたのだ?と思わずツッコミたくなる。
そこら辺の感覚は生徒会も単純なようで、きっかけなんて有って無いようなものだから触れないでおく。(有って無いようなものだから生徒からの反感も買っているのだろうが)
「ホントだぞ、龍成とはさっき初めて会った!制裁ってやつをこいつから受けた事なんてねーよ」
春野がそう言い切ってくれてちょっとスッキリする。
元々矢橋討伐のために言ってもらう作戦は立ててたんだけども、自分で呆気なく言ってくれた。利用しようとしてた罪悪感が襲ってきたが、さっき初めて会ったばかりの奴にそこまでの情は無いのですぐに切り捨てた。
「えっ、嘘……?でも、」
「「…ナオちゃんが嘘つくわけないよねぇ……」」
「あの。俺、そろそろ仕事あるので失礼しますね〜…はは」
こんな揉めてる要因が俺ってのが気に入らなくて逃げ去ることにした。そもそも、誤解が解けたとしても嫌われてるんだから最大限関わらない事に尽きる。
そろそろ退出したい理由も本当のことだ。
矢橋がなにひとつ仕事をしないせいで、まわりの隊員(全員矢橋派である。俺の人望はどこへ?)も真似をして今じゃ俺しか仕事をしてない。おかげで仕事は溜まりまくり、元々目をつけられている風紀にさらに睨まれる事になる。ただしそこは七宮がたまに誤魔化してくれる。ありがとう。
「龍成」
去り際、誰もが呆然としていて止められもしなかった。
今度こそ退室しようとドアに手をかける。
沈黙を破ったのは、七宮。
「その髪、なんとかしてきて」
「……は?」
何を言われるかと身構えれば、出てきた言葉は12文字。ソノカミナントカシテキテ。……想像の斜め上…いや下きたな。
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