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「よォ、突然振って悪かったな。完璧な返答を感謝するぜ」
入学式が終わり、宴会までの休息時間に入る。広間に大多数が移動する中、萱津との鉢合わせを危惧して残っていれば生徒会長の饗庭京介が二階の桟敷席に顔を出した。
「サイコーの振りだったよぉ。今回ばかりは生徒会長に乾杯!ってね」
グラスに入った蜜色のシャンパンを浅葱が差し出す。嫌味な動作で受け取った饗庭がチン、と軽やかにグラスを合わせた。
「事前連絡も出来ないなんて、饗庭の嫡男はとんだ問題児らしい。なんて、広まったら醜聞だね?」
ホットミルクを注いだティーカップに大粒のチョコレイトを落としてぐるぐると掻き混ぜる。徐々に暗くなる液体に満足しながら思わずくすりと笑いを漏らした。
「ハッ、俺のスキャンダルが出回ったところで不利になる程甘い信頼関係は築いてねえよ。残念だったな」
宵を強引に退けて正面のソファに腰掛ける。突き飛ばされて転んだ宵は現状を理解出来ずに宇宙を背負っていた。
「フン、“饗庭”の名前在りきの癖に口だけは良く回ること」
「甘やかされて育った“八雲”の次男にはわからねえだろうがな」
バチバチと火花が飛び散る。名家が故に起こる争いとマウントの取り合いを二人は首を傾げて楽しそうに傍観していた。
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