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閑話・吾輩はモブである
吾輩はモブである。
名前はまだ無い。そしてこれからも無い。
何故ならこれからの話に吾輩の存在は一ミリたりとも必要ないからである。衆道、男同士のにゃんにゃんを“覗く”のが日々の習慣である吾輩の将来の夢は壁になることだ。
必ずや壁と同化、若しくは一方的に除ける壁を開発してやる。そう意気込んだ吾輩の動機は決して人に言えない不純な理由であった。
因みに語弊がないよう言っておくが男を抱く趣味も抱かれる趣味も吾輩にはない。あくまで吾輩は傍観者。二人の男(三人でも可)が乳繰り合っているのをニヤニヤ眺めるのがいいのである。
吾輩はそういう生き物なのだ。
閑話休題。
このような趣味を持つ吾輩だが、実はそこそこ優秀で国の最高峰と呼ばれる学院に身を置いている。此処がまた、桃源郷かと間違えて昇天してしまいそうになる程素晴らしく最高な空間なのだ。
どこで誤ったのか、女人禁制、全寮制であるが故に禁断の同性愛が寛容に受け入れられ、男同士のカップルが当たり前のように存在する。
左を見れば手を繋ぐ男。右を見ればキスをする男。三百六十度見渡す限り衆道が観れる、まさに楽園!天国!エデンは此処にあったようだ。
そして極め付けには、“親衛隊持ち”通称『華匁−ハナモンメ−』の御方々。童謡、“はないちもんめ”から取られたこの言葉はつまり、人気モノを指す所詮二つ名。
“あのコが欲しい。あのコはイヤだ。”
なんて、歌詞を見ればお察しだ。
簡単に言ってしまえば、生徒から一等人気のある生徒を選出して名称をつけたモノ。その名の通り親衛隊を持っていて兎に角キャラが濃い。
ギットギトのベトベトに濃い。
然し如何せん顔が良く、絡みが有れば自然と耳に入ってくるので、吾輩にとっては目の前に置かれた肉そのもの。まあ、性格に難ありなので、萌えよりも基本苛立ちが勝ってしまうのだけれども。
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