閑話・吾輩はモブである

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「「「ギャァァァァァァァァ!!!!!」」 シャンデリアを揺らす大歓声。 中々始まらない饗宴に、不満の声がぽろぽろと溢れてきた頃。観音開きの扉が勢い良く開いた。 集まる注目と視線。 例に倣って顔を向ければな、ななななな!!! 生徒会長が、風紀委員長をお姫様抱っこしているではありませんか!! 「うぉっしゃぁぁぁぁ!!!!」 吾輩はキャラも忘れて腹の底から雄叫びを上げた。ええ、不可抗力というヤツですとも。 お祭り騒ぎの周りなどまったく意に介さずに、生徒会長が正面へ向かって堂々と歩く。モーセの如く割れる人の波に、顔色一つ変えないで。 「まず初めに謝罪を一つ。大切な饗宴に遅れをとったこと、誠にすまない。風紀委員長は見ての通り腰を痛めてしまっているので、俺が手短かに挨拶を。新入生諸君!存分に楽しんでいってくれ! 乾杯!」 「乾杯ィィィィウホォォォォ!!!!」 腰!?腰を痛めたっておっしゃいました???旦那様ァァァァ!!!生徒会長と風紀委員長が出て行くのを見届けて枷が外れたように狂喜乱舞する。中にはやけ酒を煽っているヤツも多くいた。 さらば雅な学院生活。 さらば吾輩の寡黙キャラ。 今日は朝まで宴だぜぇぇぇぇ!!!結婚式を準備しろ!!!! こうして居酒屋のオヤジもびっくりなどんちゃん騒ぎは真夜中まで行われたのだった。 完。
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