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第二章 蜃気楼・冬将軍
第二章 蜃気楼・冬将軍
この学院には前頭に“寄宿”と付くだけあって完全全寮制、長期休暇やよっぽどなことがない限り外への外出を禁じている。よって、生徒は巨大な滝を挟む寄宿舎のどちらかに入寮することが原則だ。
左から、風紀が管理する“冬将軍”。
右に生徒会が管理する“蜃気楼”。
どちらも高級旅館と差し支えがないほど絢爛豪華で不公平がないようシンメトリーに並んでいる。
ただ、違うのは基調となる色のみ。
大理石の壁と床に囲まれた、冷たい印象を与える談話室。アイボリーの毛の長い絨毯の上には黒革のソファと、硝子のコーヒーテーブルが幾つか組になって並んでいる。最低限に抑えられた照明が妖しげな雰囲気に拍車をかけていた。
雪の女王の城のような此処こそが、風紀管轄の“冬将軍”。エンブレムは、蛇と竜胆。
あらゆる場所に飾られた蛇の銅像と庭を埋め尽くす竜胆の花が其れを大きく主張している。
重んじるは、規律と従順。
“風紀委員長”が君臨する悪魔の体裁。
それこそが寄宿舎・冬将軍だ。
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