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第一章 帝・皇寄宿学院
第一章 帝・皇寄宿学院
意識が浮上して、真っ先に見たのは燦然と輝くシャンデリアだった。
「あ、起きたぁ。おっはよ〜お腹空いてる?」
「ケケケ、賭けは俺の勝ちだな。予測通り三時前だ」
続いて声色の違う音が耳に届く。身じろぎをして、視線を向ければ爛々と光を反射する金髪の男とザンバラ頭の不恰好な男。一見不釣り合いな彼らの胸には共通して銀のピンバッチが荘厳と主張している。
蛇の頭に竜胆の花。
そして中央に彫られた“風”の文字。
何を隠そう此処、帝・皇寄宿学院の誇る三大勢力が一角“風紀委員会”を表す頭文字だ。
「牡丹、珈琲で良い?」
副委員長の宮浅葱[ミヤアサギ]が金髪を揺らして覗き込む。怠い体を持ち上げて頷けば数分と待たずに湯気の立つティーカップが差し出された。
「あんだよ、随分と不機嫌だな」
片眉を上げてせせら笑うザンバラ男、もとい春日部宵[カスカベヨイ]をひと睨みして角砂糖を放り込んでゆく。邪道と云われる量を溶かして一気に煽った。ガシャン、とソーサーが音を立てる。
「クソッ…あのガキ、絶対許さない。近いうち必ずこの恩を返してやる」
「ハハッおめぇのは“恩”じゃなくて“怨”だろォ」
「さっすが天下のいじめっ子は格が違うなぁ。正義を笠に着て報復するのってどんな気持ち?
ーー風紀委員長の八雲牡丹[ヤグモボタン]ちゃん」
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