第一章 帝・皇寄宿学院

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「新入生の皆さま、まずはご入学おめでとう御座います。私は生徒会副会長を務める木崎碧。以後お見知りおきを。で、此方が…」 「生徒会長の饗庭京介だ!仲良くしようぜ?一年ども」 マイクを奪うように取って派手な臙脂色がギラりと舞う。挑戦的で、横暴極まりない、下品なオトコ。席が離れているのを良いことに大きく舌を打って頬杖をついた。 その瞬間ーー、焔を閉じ込めた色彩が、確かに二階の中央を見た。イヤな、予感がする。 「…で、本来ならば、この後続いて生徒会役員を紹介するんだがー、何せ今日は重役にご足労頂いてる。高嶺の花なんて比じゃねぇだろ?風紀委員長!折角だし一言貰おうか」 舞台の上から見上げる双眸とがっちり目が合う。ニヤリと、厭がらせの成功したクソガキの顔。横で腹を抱えながら催促する二人を睨んで道連れの為に腕を引く。一人でなんか死んでやるもんか。 スポットライトが、当たった。 一階から注目を集めているのが分かる。首を伸ばして見上げてくるその格好が、如何にも滑稽で思わず嘲笑が漏れた。表情を取り繕うことなくマイクを握る。 「ご紹介に預かり、光栄だよ生徒会長。僕は風紀委員会委員長、八雲牡丹。中等部では随分と緩くやっていたようだけど、僕の管轄に入った今、そんな緩い考えはよした方がいい。きみたちが穏やかで良い生活を送れるよう、願っているよ」 皮肉を込めて鼻を鳴らす。全校生徒を見下せるのは、存外気分がいい。視線を彷徨わせて、一番端の席に萱津がいるのを捉えた。思いっきり煽ってやろうと思ったのも、束の間。
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