第一章 帝・皇寄宿学院

5/9

47人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
虎の如く鋭い眼光に、囚われる。軍帽の無くなった今、より鮮明に輝く琥珀の瞳が、どうしようもなく体を竦ませた。押し付けるようにマイクを渡して視線から逃れる為に座り込む。 残りの話は、全く耳に届かなかった。 屈辱、屈辱だ。 一歳も年下のガキに怖気付いて、尻尾を巻いて逃げるだなんて。一ヶ月前までの、従順な忠犬だった日々が懐かしい。従わせようにも、塀に押し付けられた掌が、一回りも大きなサイズの掌が、自然と体を震わせる。 グッと唇を噛んだ。 一連の挙動を一対の眼が、見つめていたことも気づかずに。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加