八章 狩人と蝶

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 さらに目を凝らすと、男の方が制服のズボンのチェック柄の色が濃く見えた。 つまり、男は夏目より年下なのかと七宮が軽く顎を引く。 七宮の頭には「友達」と「浮気」の2つの熟語が浮かんだが、すぐさま後者を押し戻した。 そして頭には新たに「兄弟」の熟語が大きく広がる。 二人が動き出したのを確認し、七宮は今の状況を全て覚えようと、大きく息を吸った。 「なんだいなんだい、恋の悩みか?」 いつの間に来たのか、七宮の真似をするように公務補の清川(きよかわ)がしゃがんでいた。 清川は七宮の小学校の時も公務補を務めていたが、七宮たちと共に来るかの様にここの中学校に移って来たのだ。 慌てて人差し指を立てると七宮は首を横に振る。 「勘違いしないでくださいよ。今、大事なところなんです」
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