三章 虫眼鏡、取扱注意

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三章 虫眼鏡、取扱注意

「よくここまで来たな」 七宮が黒鍵を見下ろす。黒鍵が悔しそうに頭を掻く。七宮がしゃがみ、思い切り引っ張た。 「中学2年生でリボン結びが出来ないのか?特殊な結び方はすぐ出来るくせに」 「努力はしたよ」 呆れたように首を振りながら黒鍵のスニーカーのひもを結び直す。 「いいか?まず紐と紐を結ぶ」 「そこまでは出来るよ」と黒鍵が合の手を入れる。 「片方の紐で輪を作り、それを持つ指を包み込むようにする」 「なるほど」 「指の下から紐を通す。そしてこの両方の輪を引っ張る」 七宮が手を放すとリボンは縦になっていた。 「七宮君もできないじゃん」 「違う、人にやってあげるのは慣れていないからだ。というか、リボン結びに変わりないだろう。これでいい」 それを見ていた夏目が七宮を払い、黒鍵の前にしゃがみ込む。 「どれ、私がやってあげる」 あっという間に黒鍵のスニーカーの紐がきれいなリボン結びになった。 「夏目先輩、黒鍵を甘やかしちゃいけませんよ」 「まあ、黒鍵ちゃんもいつかは出来るようになるって。私だって泣きながら練習したらこの通りきれいに結べるようになったよ。今年の春に限定発売されたスニーカーの靴ひもをキッチリ結びたくて」
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