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「待たせたのう」
「協力な助っ人を呼んできたでのう。もう大丈夫じゃ」
そう言って帰ってきた鍛えの賢者と知識の賢者。鍛えの賢者は定位置に、知識の賢者は僕の前に立ってくれている。その横にとても綺麗な女性が立っていた。
「どうじゃ? アルヴィス」
「間違いなく世界樹の子供ですね」
「世界樹……?」
世界樹ってこの世界を生み出したと言われる全ての源の樹のことだよね。その樹の子供が、僕……。
「ふふ。世界樹の子供に会えるのは実に数百年ぶりです」
そう言って柔らかく笑うアルヴィスという女性。彼女はいったい何者なんだろうか。
「申し遅れました。私はアルヴィス。世界樹を守護する者」
「僕こそすみません。僕はシオン。シオン・レアメユクです」
「それではシオン。あなたのことについて話しましょう」
「はい。お願いします」
「あなたは世界樹の子供。子供と言っても、世界樹が創造し生んだ存在。あなたの役目はただこの世界を見て回り、いろいろな存在に関わり触れ知ること。そしてその記憶は母なる世界樹へと送られ、世界樹の力へと還元される」
「……」
「回りくどい言い方をしたけれど、あなたはあなたらしく生きればいいの。回りの人間と同じように好きなものは好き、嫌いなものは嫌いでいい。あなたは世界樹の子供である前に、あなたを育ててくれた両親の子供なのよ」
「はい……」
「世界樹の子供は澄んだ心の愛情でなければ、穢れを呼び死んでしまう。あなたはとても素敵な両親に巡りあったのよ」
アルヴィスさんの言葉に改めて両親たちにとても感謝した。
いつだって僕を想って褒めてくれたり、叱ったりしてくれて。思い出す両親は本当に素敵なお母さんとお父さんで。大好きな人たち。
「だからあなたに会えて嬉しい。悪い話だけど世界樹にとって世界樹の子供の死も力の還元になるのよ。この世界をよくするために」
「僕は世界樹の目であり耳なんですね。そして……心でもある」
「そう。だからあなたは弱い存在として創造された。人間や魔物がどう見るのか、どう接するのかを知るために」
その言葉を聞いて、ふっと自分の頬が緩んでいくのがわかる。
「僕の回りにいる人たちがみんな素敵な人たちだから、僕は生きていられたんですね。それはとてもありがたくて、幸せなことです。僕はこれからも生きてみんなにもらった幸せをたくさん返さなきゃ」
「うっ、ぐずっ……」
「ぐすぐすっ……」
鼻をすする音が聞こえて、アルヴィスさんから視線を鍛えの賢者と知識の賢者に移すとすごく泣いていた。
「え……!? 泣いてる!?」
僕は手を宙でさ迷わせ、おろおろとする。
「すまんのう。歳のせいか涙腺が……」
「生きて儂らに会えたのも奇跡なのかと思ったら涙が……」
「僕、お二人に会えたのもとても幸せなことだと思ってますよ。僕のためにありがとうございます」
「いい子じゃ……」
「そんないい子のために儂頑張る……」
「レベルは上がらないけれど、その代わりに世界樹の加護がいくつかあるはずよ。一度確認してみましょう」
「はい!」
確認してみると僕の防御魔法のレベルが通常ではあり得ないくらい精度がよかったし、体力は底なしの上生命力がすごかった。これは打撃とか魔法攻撃ではなかなか死なないと思う。あと知識の幅が増えていた。それから確認している最中に、世界樹から新たに僕へと贈られた加護がある。
それが『清らかな愛情』だ。
アルヴィスさんに聞いたら、これが世界樹最高の加護であり大昔に一度しか見たことがないという加護らしい。これのおかけで僕は無敵状態らしい。だからアルヴィスさんに「あなたはどんな強い敵がいるところでも旅ができますよ」って言われた。
「僕を生んでくれたお母さん、ありがとう。僕はこの世界に生まれることができて幸せです」
その後、僕はみんなが集めてくれたアイテムを使いに使ってダンジョンでレベルを二十まで上げ、他の能力の上限を解放しそのスキル上げもすることができた。そして無事にヴィルたちと合流。みんな強くなっていて、相変わらずみんなかっこよくて可愛くて素敵な人たち。
僕はみんなに自分のことを話した。そうしたらみんな自分達も強くなったし、お前が無敵状態ならまだまだ一緒に旅ができるなって喜んでくれた。
僕たちはこれから新しい大陸に行く。
レベル百の四人とレベル二十の僕の旅。
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僕はパーティーの中で一番弱いけど、仲間に恵まれました。
僕はとても素敵な人たちに出逢い、今日も生きています。
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