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相変わらずここは綺麗。
ちなみに仮想空間にいるとき、身体は投影機から発される特殊な電波のおかげで昏睡状態なので、健康面も心配ない。つまり、気兼ねなく仮想空間を楽しめるんだ!
学校へ行く道を辿っていると、ふと後ろから声をかけられる。
「悠留〜〜っ!おはよう!」
それが聞き覚えのある、柔らかで聞き取りやすい親友の声だと気づくと、わたしは
「望!おはよう!今日も暑かったね〜っ」
と返事をした。
読影 望(どくえい のぞみ)、それが彼女の名前。望は[ドクエイカンパニー]と呼ばれる発電事業の社長の一人娘で、めちゃくちゃにお嬢様。でも、優しいし所作のひとつひとつが丁寧だし頭も切れるし運動もできる、つまりなんでもできるスーパーガールだから周りからは全く妬まれていない。
あ、言い忘れてたけど、仮想空間では[アバター]を使えるから、自由に容姿を変えられる。わたしは現実での姿からに赤いメッシュを入れただけ(ちなみにボブカットの茶髪)だからあんまり変わらないけど、望は元から大分変えてるらしい。それもそのはず、望はピンクのロングヘアーに水色の大きなリボンを付けた、かなり派手なアバターにしてる。可愛いものが好きだって言っていたからか知らないけど、顔もお人形さん(仮想空間でしか見たことないけど)みたいだから、わたしの隣にいるとかなり浮く。もちろんわたしが。もとの姿も黒髪でかっこいいらしいから、一回見てみたいなあ〜。
まあつまり、どうしてわたしなんかと親友になってくれたんだろうと思うほど、良い子っていうわけだよ。
うーん、本当になんでなんだろう……?
わたしがそう望の顔を見つめていると、
望は居心地が悪そうにする。
「悠留ちゃ〜ん、どうしたの?私の顔になんか付いてる?さっき投影したばかりだからそれは無いはずだけど…」
「あっ、ごめん。望がいつも通りかわいいから見てただけ」
「すぐそういうイケメンなこと言う〜。」
望はそう笑う。別にイケメンムーブしてるつもりは無いんだけど、喜んでくれるならいいや。悪いことでもないし。
ちなみに現実での姿のことは、もしかしたらコンプレックスだと思ってるかも知れないので聞かなかった。
気になったけど、まあ仕方がない。
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