DAY1 はじまる

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DAY1 はじまる

 【仮想… 事実でないことを仮にそう考えること。仮定しての想像。】 私は西雨 悠留(にしあめ ゆうる)。16歳の高校一年生で、築203年のアパートに住んでる。 可も不可もない見た目。 中ぐらいの成績。 運動神経もろくにない。 だから私は「第三優先度人民」(これまた中くらいのレベル)に選民されてしまい、こんなボロいアパートに住んでる。正直しんどい。 だって。ほら聞いて! ひび割れた窓を覗いても、コピペしたような 殺風景な発電所しかないからつまんないし、 エアコンが環境保護のためだって使えなくて、すごく暑いせいで今にも熱中症になって死んじゃいそう!意識が常にふわふわしてる感じ。 親も2年前から遠い地に働きにでてるから話し相手もいないし。 ご飯もほぼ毎日サプリメント。 動物も殆どいない… エトセトラ、エトセトラ。 まあつまり、今の生活は不満だらけってこと。 でも、私には今日も生き続ける訳がある。 それは、『仮想空間』があるから。 仮想空間とは 「2000年頃の地球の様子を再現していて、 政府から配布された専用器具(仮想空間投影機)を使うことでインターネット世界に入れる」 というもの。 そこでは学校や、美しい景色のスポット、大人たちの憩いの場があり最高に楽しい(年齢層ごとに空間が分かれているから親には会えないけど)。 でも、サーバー維持のために時間制限があるのが玉に瑕。まあ仕方ないけどね。 「…あ!?そろそろ学校の時間だ!」 私は急いで投影機を起動して、「仮想空間へ入りますか」と表示されているアイコンをクリックする。するといつも通り画面にしばらくお待ちください…と表示されるので、ホッとする。最近はやたら回線遅かったからね。 今日もいつもよりはちょっと起動が遅めだけど、しばらく経つと画面が真っ白に光り、私の身体が光に包まれ、思わずきゅっと目を瞑る。 そして、光が収まったと思い目を開けると…… そこには 青空が美しい『仮想空間』が広がっていた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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