余命3ヶ月前

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余命3ヶ月前

余命宣告をされてから3ヶ月が経ったとき、私は悪魔という存在を知った。 悪魔は、何でも願いを叶えてくれるという。 しかし、その願いには対価として代償を求められる。 代償は、願いの大きさによって決まるらしい。 私が悪魔に願ったら何の代償を求められるのだろうか。 そんな思いとは裏腹に、私は悪魔召喚の魔方陣を書いている。 何でも悪魔召喚専門の店があるらしく、私は大金を注ぎ込んで悪魔召喚をすることにした。 魔方陣を書き終え、中央に自分の血を垂らす。 すると、先程まではただの魔方陣だったのが、私の血を垂らした場所にスーツを着たモノがいた。 顔はよく見えず、服だけが鮮明に見える。 禍々しい雰囲気が店内を包む。 体が震えて、息が浅くなる。 「汝、我の契約者か?」 悪魔が話しかけてくる。 私は無言で首を縦に振る。 「汝、この大悪魔に何を願う 願い相応の対価は頂くが、我はその辺の雑魚悪魔とは違いどんな願いでも叶えてやろう」 そう偉そうに言ってくる。 私は震える体に鞭を打ち、願いを口に出す。 「もう少しだけ……。 もう少しだけ、生きたいです。 この病気の進行を遅らせてほしいです」 「ふむ……。 理由は?」 「娘の、成人式を……。 晴れ姿を、見たいから……。」 「なるほど……」 そう言うと、悪魔は指をパチン、とならす。 「これで、汝の願いは叶えられた。 汝の残り3ヶ月の命だったその魂に、1年だけ寿命を増やした」 どうやら、先程の指パッチンで私の願いは叶えられたらしい。 「あ、ありがとう…ございます…… あの…」 「なんだ?」 「代償は……。 悪魔の契約には、代償があるって……」 「我は、代償を我の口からは言わぬ。 自分のその目で、代償を確かめてみろ」 そう言って、悪魔は消えていった。
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