こんにちは!ぼく、くまのルーさんです!

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こんにちは!ぼく、くまのルーさんです!

 その言葉を聞いた時、ぼくがどれほどびっくりしたかわかるだろうか。  ぼくの愛するナナちゃんは、カレンダーを見てこう言ったのだ。 「もうすぐクリスマスだなあ。……よし、サンタさんには、新しいクマのぬいぐるみをお願いしよう!」 「えええええええええええ!?」  残念、ぼくの悲鳴はナナちゃんには聞こえない。なんといっても、ぼくはぬいぐるみ。くまのるいぐるみのルーさん、というのがぼくの名前だ(どう見ても、世界的に有名なハチミツ大好き黄色のクマをもじったものであるのは明白である)。ぬいぐるみや玩具は自分達同士でいくらでも話ができるけれど、人間と言葉を交わすことはできない。表情が変わったことも見えない。だからきっと、ナナちゃんは自分の言葉と同時に、何故かものいわぬ茶色のクマのぬいぐるみが突然ソファーから落っこちたようにしか見えなかっただろう。 「あ、もうルーってば!ちゃんと座ってないとだめでしょー?」  ナナちゃんはパタパタと駆け寄ってきて、ぼくを抱き寄せて定位置へ座らせる。ソファーの上が、ぼくの定位置だ。テレビを見る時はナナちゃんも、お父さんもお母さんもお兄ちゃんも、ぼくのことをだっこしてテレビを見てくれる。寝る時はナナちゃんが布団に連れていってくれるという、ぼくだけの大事な場所である。  まさかここに、ぼく以外の奴が座るというのか。  ぼくはもうお払い箱にされてしまうのか。いやいや、優しいナナちゃんに限ってそんなことは――。 「あ!」  ナナちゃんはぼくの後頭部を見て一言。 「ここ、黒く汚れちゃってる。うーん、ルーもだいぶシミが増えちゃったねえ……」 「ああああああああああ!」  お願いですから気づかないで!  マジでそうなりそうな気配に、ぼくは一気に青ざめたのだった。いや、血なんか通ってないけど、まさに気持ちはそんなかんじである。
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