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 高校生にもなっておむつをはくことにものすごい抵抗感はあったが、下着とズボンが濡れるよりはましに感じている。  おむつは親にばれないようひっそりと処分する。 「あんたいつまでくだらない罰ゲームしてる気?くだらないことしてないで、ちゃんと勉強しなさいよ」  朝食を食べていると母に呆れた口調で言われた。  適当に相槌を打ち食事をすませ学校へ向かう。  悲しみとかの涙だったら、母や杜若に感動するドラマや映画を見せればなんとかなりそうだったけど……。  授業中もずっと考えていたが思いつかず、隣の席の女子に聞いてみることにした。 「急に変なこと聞くけど、うれし涙とかってどんな時に流れるものかな」 「ほんと急に変なこと聞くね。人にもよると思うけど私だったたら、部活の試合で優勝したときとか」  杜若は部活に入っていなかった気がする。 「あ、あとは長く会ってなかった人と再会したときとか!ってなんでそんなこと聞くの?」 「え、あ。なんかふと思っただけ。特に意味はないよ」  考えれば考えるほど思い浮かばず、そのことは一旦考えるのをやめた。  移動教室の際、緊張しながらも犬のことで杜若に話しかけた。  杜若は犬のこては好きだと言う。 「たださ、死んだとき傷が深くなるからあんまりべったりしすぎないようにしてるかなあたしの場合は」  と杜若は少し乾いた笑みを浮かべた。  夕方、毎度のごとく眠気に襲われたのでおむつを履き、ベッドに横になる。  自分のおこずかいをはたいて高級肉を買ったが、オリシンスはなかなか現れない。  暗闇から目を覚ますと見慣れてきた杜若家のリビング。  ソファに椿ともう一人、女子が横並びに座ってテレビを見ていた。  テレビ画面を見ると人物が涙ながらに何かを訴えかけるシーンで、女子の方は涙流していたが、椿の方は泣いていない。 「椿、今のシーン感動しなかったの」 「いや、いいシーンではあるけど、泣くほどの場面ではなかったかな」  二人の後ろを通って杜若母がこちらへきた。首輪にリードをつける。  そんな様子を見て女子が椿は散歩にいかないのかと聞く。  たまに行くけどお母さんの楽しみだからと答えた。僕がポルシェと入れ替わってからはまだ一度もない。  まぁ一緒に散歩するのもなんだか恥ずかしいからなくていい気もする。 「ねぇ、一軸……だっけ?一軸君はなにかおすすめのドラマとか映画とかない?」  たまには食堂で食べようとしたらラッキーなことに、一つ空けて杜若とその友達が座った。  話かけてきたのは友達の方だったが杜若がいることがうれしかった。
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