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 僕は頭の中にある、人に勧められそうな作品を思い浮かべる。  思いついたタイトルを言ったあとに、それはお笑い番組のタイトルだったことを思いだす。  ふふふと軽く笑い、たまにはお笑いもいいかもねと言ってくれた。  いつものように杜若家でポルシェとして目を覚ますと目の前にリードを持った椿がいた。  家を出て住宅街を抜け川沿いを椿と一緒に歩く。 「たまにはいいね、こうして誰かと一緒に散歩するの」  椿はポルシェの方を見て言う。中身が僕なことがなんだか申し訳なく感じた。  途中トイレに行くためコンビニに寄った。  ポールに繋がれ待っているとどこからともなくテレビの砂嵐のような音が聞こえてきた。  この感じは……。  次の瞬間あたりは真っ暗になり目の前にオリシンスが現れた。 「いやー残念だったねー」  いきなり何のことを言っているのか分からない。  なんのことかと尋ねると、三つあるうちの目に当たる部分の点二つを山なりの細い三日月型にし言う。 「今日あの女、うれし泣きしてたぞ。いや、あれは笑い泣きか。早く交代してたら触れたかもしれないのになー」  はっと肉のことを思い出し提案すると山なりだったのが反対になった。 「前も言っただろ、取り下げはできない。もとに戻りたいなら涙に触る、それだけだ」  そういいオリシンスは姿を消しあたりは夕暮れの風景に戻った。  いつの間にか戻ってきていた椿が空を見上げぼーっとしていた僕をくいっと引っ張る。  次の日の休み時間、杜若が話しかけてきた。 「この間は面白い番組教えてくれてありがとう。久しぶりにかなり笑えたよ」 「そっか、それはよかった」  またおすすめがあったら教えてねと言われ、話しかけるきっかけがまたでき嬉しく感じた。  それから杜若と少しずつだが話すことが多くなった。  そのおかげかポルシェになったときに椿に近寄るののためらいが薄れた。  休みの日、杜若母がたまには椿もポルシェと遊んできなさいということで、一緒にドッグランに行った。  最初真一文字だった口元が気が付けば口角が上がっていた。
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