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その後、私はロザリア様と共にギルバート様が待っていらっしゃるであろう執務室に向かった。
執務室に入れば、そこではギルバート様とサイラスさんが重苦しい表情でいらっしゃって。私は「ギルバート様?」と声をかけてしまう。
「……あぁ、シェリル」
私の顔を見て、ギルバート様がほっと一息をつかれる。それから「……少し、面倒なことになりそうだ」とつぶやかれ、視線をロザリア様に移す。
「ところで、エリカ嬢は大丈夫だったか?」
しかし、話を変えようとされたのか、ギルバート様はそう問いかけてこられた。なので、私は「今は、眠っています」と答える。
エリカが無事だったことに一安心されたのか、ギルバート様がもう一度息をつかれた。が、すぐに「……俺は、この屋敷で死人が出るのが嫌なだけだ」と訂正されていた。どうやら、エリカのことをそれとなくは心配してくださっているらしい。
「シェリル。とりあえず座れ。立ち話もなんだからな」
そう指示されて、ソファーに腰を下ろす。サイラスさんは私が腰を下ろしたのを見てか、「こちらを、どうぞ」と言ってお茶を出してくれた。
「……あの、ギルバート様」
そのお茶に口をつけながら、私は小首をかしげてギルバート様に声をかけた。すると、ギルバート様は「……シェリルの知っている状況を、教えてほしい」とおっしゃる。なので、私はロザリア様に視線を向けていた。……情けないことに、私は何も知らない。
(……何か、できたらいいのだけれど)
そう思うけれど、今の私は無力だ。今は、周りに頼ることしかできない。そういう意味を込めてロザリア様を見つめれば、彼女は「……とりあえず、呪いをかけたのが男性だということが、わかりました」と言って目を瞑っていた。
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