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もしも、その八百年ほど前の状態と同じようなことになってしまえば。……私は、無事でいられるのだろうか。そんな一抹の不安が、脳内によぎる。
「……その場合、シェリルはどうなる」
「無事である保証はありません」
ギルバート様の問いかけに、ロザリア様は震える声で答えていた。その声が今にも泣きだしそうだったので、私の心にも暗雲が立ち込めていく。私のことを支えてくださるギルバート様の手が、さらに震えていた。
「ただ、対処法はいくつか見つかりました。……なので、そちらに頼るしかない、かと」
「……そうか」
そんな風に会話をしていると、徐々に私の身体に力が戻ってくる。先ほどロザリア様が呑ませてくださったお薬のおかげだろう。
「シェリル様。今後もこういうことが起こるかもしれませんので、魔力補充剤をお渡ししておきますね」
「……あり、がとうございます」
「いえ、苦しくなったら呑んでくださいませ。私の方は、追加の発注をしておきますので」
ロザリア様がにっこりと笑われたのは、多分私に余計な不安をかけないためだったのだろうな。それだけは容易に想像が出来た。
「……妹様のことも心配でしょうが、今はご自分の身体の方が大切です。ご自分が無事でないと、妹様を助けることもできませんよ」
最後に、ロザリア様はそう声をかけてくださった。それは、私に無茶をするなと遠回しに伝えている……ということなのだろう。
「……はい」
「妹様に何かがあったら、私の方でも対処しますので。……大丈夫ですからね」
私の頭をなでながら、ロザリア様がそう声をかけてくださる。その手の感触が心地よくて、私はゆっくりと目を瞑った。そして、そのまま眠りに落ちてしまった。多分、体内の魔力に相当負担がかかっていたのだと、思う。
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