第31話 シェリルとギルバートの視察(4)

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 その後、私はターラさんに町を案内してもらうことになった。 「こちらが町にある唯一の診療所です」  一番に案内してもらったのは、ノールズ唯一の診療所という場所だった。外観はきれいであり、建物自体もまだまだ新しく見える。待合室には年老いた人から若者までおり、相当頼りにされているようだ。 「見たところ、建物自体は新しそうですね」  私がそう声をかければ、ターラさんは「えぇ、十年ほど前に建てられたばかりですので」と言って、表情を緩めていた。 「先代の領主様がお医者様を連れてきてくださって、診療所を作ってくださいました。ですが、建物の老朽化がひどかったので、今の領主様が新しくしてくださったのですよ」 「そうなのですか」 「えぇ」  ターラさんはニコニコと笑いながらそんなことを教えてくれた。  どうやら、ノールズの人たちはギルバート様のことを相当慕っているように見えた。先代の伯爵様のことも慕っているようだし……それだけでリスター伯爵領がどれほどいい場所なのかがよく分かる。 「ところで、シェリル様は先代の領主様にはお会いしましたか?」  町を歩いている最中。不意にそう問いかけられる。なので、私は首をゆるゆると横に振った。 (ギルバート様のご両親とは、今まで一度もお会いしていないのよね……)  ギルバート様曰く元気にやっているということだけれど、何故か会わせてくださらない。私としては義理とはいえ両親になるのだから仲良くしていきたいと思っているのだけれど……。
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