一章

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「ゆいら。」 名前を呼べば、栗色の髪の子が、にぱっと笑った。 ふわふわとした猫っ毛だ。 お姉ちゃんの遺伝を受け継いでいるな、と思う。 「ふわり。」 ふわりの方は、呼んでもまだあまりリアクションをしてくれない。 ゆいらは2歳だけど、ふわりはまだ1歳にもなっていないはずだ。 純粋無垢な目がキラキラと輝いている。 「ゆう。学校、楽しい?」 ふと、2人を抱えたままお姉ちゃんが口を開いた。 髪の毛は落ち着いた赤。 昔ほどに派手な赤ではないけれど、これでも十分目立つ。 昔は見上げていたのに、今は見下ろせるほどに身長が高くなったなと自分の成長を感じながら、さっきの質問の回答を考える。
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