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富士急行河口湖行きに1時間ちょっと乗車していると、そろそろ終点の河口湖駅に到着する頃合いとなった。
それまであまり気にしていなかったのだが、ここへ来てようやく、沢村と見知らぬ女がどちらもトレッキングシューズを履き、スキニーやレギンスにパーカーという軽装に着替えて来ていることが気になり出したが、その意味合いもなんとなくわかったような気がしてきた。
これは明らかにハイキングに向かうか、もしくはレジャー施設で楽しく遊ぶための服装ではないかと思い当たった。
馬鹿馬鹿しい。
私が何でこんな堅苦しいパンツスーツ姿で、ウロウロとレジャーを楽しむ気満々スタイルのカップルをつけ回さなければならないのか。
うんざりした気持ちはいよいよ最高潮に達し、もうここまで来たなら私も一緒にレジャーを満喫して帰るか…いう気分にすらなってきた。
どうせ仕事でここに来てるわけではないし、まぁたまにはそんなのもいいだろう。
そんな気持ちになっていった。
電車はいよいよ河口湖駅に到着し、沢村と女は黙って電車を降りた。
その後、二人は改札口へ向かい、駅から外に出て行った。
私は運賃を精算してから、少し遅れて改札を出た。
駅前まで行くと、最初、沢村と女が何処に行ったのか見失ってしまい、少し焦ったが、河口湖駅バスきっぷ売り場にいる二人の姿をみつけて、慌てて私もそちらに向かった。
どうやらバスに乗る気らしい。
少し距離を置いて監視していると、二人は富士急山梨バスのバス停に滑り込んできた河口湖・西湖周遊バスに乗車したので、私も急いでバス停に向かい、同じバスに乗った。
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