99人が本棚に入れています
本棚に追加
88
つねさんの入って行った進入禁止区域の方を凝視すると、そこには自然道の跡のようなものが見えた。
元々はここも自然道だったのか?
だが、その奥の方では木々が幾つか通行止めのように不気味に荒れ果てた状態で倒れているようだった。
その光景には整備された遊歩道にはない、あまりにも殺伐とした気配が漂っていた。
私はつねさんに、人探しのボランティアに協力したいと頼んだ。
つねさんは、ここから先は危険だからと、最初は拒否してきた。
しかしここまで来たのだからと、私が何度も熱心に頼み込むと、ならば自分の側を絶対に離れない、単独行動は取らないことを条件に、渋々承諾してくれた。
それで私もいよいよ進入禁止区域に入っていき、またつねさんと一緒に前に進んでいった。
凶々しく道を塞ぐように倒れている木々を跨いで、私とつねさんはひたすら前に進んだ。
沢村と女の姿はまだ全く見当たらなかったが、時間が経っていない分、そう遠くには行っていないような気がしていた。
道無き道の自然道跡をそのまま進んでいくと、徐々にその道幅が狭くなっていった。
そしてついには、自然道跡自体が消滅してしまった。
その向こうを見渡すと、そこには崖が見えてきた。
そしてその周辺の木の周りにはロープのようなものが貼られていた。
これは進入を禁止する目的か、または道に迷わないように印が付けられているのかのどちらかだと思うが、どうやらその前でつねさんが立ち止まってしまったところからすると、ここから奥に進むのはかなり危険なのかもしれない。
ほとんど道らしい道は存在せず、所謂、ここからは獣道になっているように見えた。
するとつねさんは、木に貼られたロープを確認しながらその周辺を歩き始めた。
どうやら迂回して、この奥になんとか入り込める場所を探しているように見えた。
自殺者はやはりこの自然道から外れた場所に入り込んで死ぬことが多いようだから、いよいよここから先が正念場ということになる。
私もいよいよ覚悟を決めて、そのままつねさんの後に続くことにした。
最初のコメントを投稿しよう!