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古い朽ち果てたような小屋の前まで行くと、つねさんはおもむろに中を確認した。
「誰かいますか?」
私はすぐにそう聞いた。
「いや、元々ここはただの空き家だから。でもここに誰か入り込んでないかと思って…」
つねさんはそう言って、さらに小屋の中に入っていったので私も後に続いた。
小屋の中はいかにも雑然とした、まさに廃屋そのものの内部といった感じだったが、人がここに居たような形跡はあまり感じられなかった。
「ここには入り込んでないようだね」
つねさんがそう言って外に出たので、私もそれに続いて一緒に外に出た。
外に出て、すぐ崖の方を見た時、また不意に、何か奇妙に白っぽい塊のようなものが目に入った。
あれは何だ?
私は気になって目を凝らした。
「どうしました?」
ひたすら一点を凝視してる私を不思議に思ったのか、つねさんがそう聞いてきた。
「あの白い塊は…?あれは何ですか?」
私がそう尋ねると、つねさんも白い塊の方に目を向けたが、ただ不思議そうな顔をするばかりだった。
「わかりません…。あんなの見たことない…」
そう言うとつねさんも、白い塊の方を凝視し始めた。
私はここで目を凝らしていても埒が明かないと思い、白い塊の方に歩き出した。
「あ、待って…」
そう言って、つねさんも私の後についてきた。
徐々に白い塊がある場所に近づきつつあったが、するとその刹那、白い塊は急にこちらから離れ、遠ざかっていくように見えた。
動いているのか…?
あれは一体…?
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